2005年8月29日 日常
 一人、夜道を歩いている。
 なんのことはない、コーラが飲みたくなったから買いに出ただけである。

 今はおそらく3時少し前だろうか。
 夏だというのに空気が少し冷たい。

 もしかしたら俺がバイトをしてるうちに夏は終わったのかな、と空を見上げ苦笑する。
 夜も遅い、その上少しも星が出ていないがいい天気だと思った。

 歩く。歩けば前へ進む。今はそれだけでいいんだ。
 少し距離はあるけど楽なもんさ。

 やがて自動販売機にたどりついた。
 コーラを買う。当然だ。それが目的だったんだから。
 愛想のないその機械に別れを告げることもなく、去った。

 ここは太陽の光がほとんど届かない灰色の世界。とてもとても綺麗な世界。

 山は真っ黒で空も真っ黒、道路の上に引かれているオレンジ色の線も灰色に見える。そして真っ黒な道路と今は灰色に見える白い線。ここからは見えないが海も多分真っ黒なんだろうな。
 そんな綺麗な世界を俺は歩いている。

 そして、橙色に光るものを見つけた。
 小さな神社だ。ちょっと覗いてみると、賽銭箱があった。
 賽銭箱とその周りは、もとは木の色なんだろうが光が弱いためか今は灰色に見える。

 灰色の賽銭箱に、握っていた金を放り込む。
 そして「そろそろ誰かの願いをかなえてやってくれ」と呟き、外に出た。

 光を受けているため自分の真っ黒な影が伸びている。
 道路はあいかわらず灰色だったが、オレンジ色の線が光を俺に返していた。ああ、そうだな、お前はやっぱりオレンジ色なんだよな。

 そしてそこからは再び灰色の世界。
 この世界は光が当たるとすぐに滅びる。それでも待ってれば再び興る。

 待つだけでやってくる。
 なんて優しい世界なんだろう。

 夏はいつの間にか終わったみたいだし、空は相も変わらず曇っている。

 今日もいい天気だ。

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